在宅訪問を始めるまでの準備
薬局が在宅訪問をいざ始めようと思っても、条件や事前に申請する書類があります。ここでは、訪問が決定してからどのように訪問まで進めるのか、事前に準備や確認事項について解説します。
在宅訪問を始める前
在宅訪問を始める前には、以下の2点を行う必要があります。
- 届出を提出する
- 文書を薬局で作成する
1:届け出を提出する
A1 | 在宅患者訪問薬剤管理指導に関する届出 | 提出先:地方厚生局 |
---|---|---|
A2 | 介護給付費の請求及び受領に関する届出 | 提出先:国保連合会介護保険係 |
A3 | 居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導事業所の指定に係る記載事項 | 提出先:都道府県の介護保険の担当部署 |
A4 | 生活保護法等指定介護機関及び中国残留邦人等支援法指定介護機関の指定申請書(介護保険) | 提出先:都道府県の生活保護の担当部署 |
保険薬局で行う在宅訪問には、医療保険で行う「在宅患者訪問薬剤管理指導」と、介護保険で行う「介護予防居宅療養管理指導」と「居宅療養管理指導」があります。
A1:在宅患者訪問薬剤管理指導に関する届出
A1に示すように、医療保険の「在宅訪問薬剤管理指導」を行う場合には、届出が必要です。医療保険の場合は、「在宅患者訪問薬剤管理指導に関する届出」を地方厚生局に行います。届け出をしないと、医療保険の在宅訪問に関する「点数」の算定ができません。
介護保険の場合では「みなし指定」と言われ、医療保険を取り扱っている薬局であれば、介護保険を取り扱えます。そのため、あらためての届出は必要ありません。介護保険での居宅療養管理指導等を行わない場合のみ「介護保険での指定の取り下げ」や「休止届」を都道府県の介護保険課に届出してください。詳細は、都道府県の介護保険課に確認してください。
A2:介護給付費の請求及び受領に関する届出
介護保険給付費の請求・支払は国保連の介護保険係に申請が必要です。申請していないと給付費の請求ができません。
A3:居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導事業所の指定に係る記載事項(介護保険)
法令上必須ではありませんが、都道府県によっては提出をお願いされる場合もあるので、準備しておきましょう。
A4:生活保護法等指定介護機関及び中国残留邦人等支援法指定介護機関の指定申請書(介護保険)
2014年7月1日以降に新規に開設された薬局は、介護保険の居宅療養管理指導の事業所の指定を受けた時点で生活保護法と中国残留邦人等支援法の指定介護機関として指定を受けたものとみなされるため、改めて申請をする必要はありません(指定医療機関については届出が必要)。
2014年7月1日以前に新規に開設された薬局は、生活保護・中国残留邦人を支援する指定介護機関としての届出を受けるためには、指定医療機関の指定とは別に指定申請が必要です。
制度が複雑なので、不安な場合は都道府県等の生活保護の担当部署に確認しましょう。
2:薬局における作成文書
次に、薬局で文書作成が必要です。
1.薬局内で掲示する文書
- 運営規程の概要(介護保険)
- 介護保険サービス提供事業者としての掲示(介護保険)
- 訪問薬剤管理指導の届出を行っている旨の掲示(医療保険)
- 無菌製剤処理加算に関する掲示(医療保険)
2.訪問指導を行うにあたって利用者に記載してもらいお渡しする文書
- 居宅療養管理指導サービス提供に係わる重要事項説明書
- 契約書(介護保険のみ)
3.薬剤師が記入、又は医師や患者に提示する文書
- 訪問薬剤管理指導記録
- 処方医への報告書
- ケアマネジャー及び処方医以外の医療関係職種への情報提供
4.その他
- 薬学的管理指導計画表
- 居宅療養管理指導サービス後の領収書
在宅訪問を始めるにあたり、事前に準備する書類は非常に多くあります。スムーズに訪問を行うためにも、しっかりと事前準備を行いましょう。
在宅訪問業務の流れ
薬局が在宅訪問をいざ始めようと思っても、条件や事前に申請する書類があります。ここでは、訪問が決定してからどのように訪問まで進めるのか、事前に準備や確認事項について解説します。